Pat Metheny “TAP” liner notes パット×ジョンによる新たな化学反応 パット・メセニーの、演奏家としての凄さに圧倒された新作「タップ」である。 今作は、ジョン・ゾーンの『ブック・オブ・エンジェルズ』シリーズの第20作にあたる。 つまり、ジョンの作曲を (ジョン自身のクインテットなどを含む) 様々な演奏家がアルバム化する企画の一作品で、 パットが所属するノンサッチと、ジョンのレーベルであるTzadikより同時発売される。 パットが自分以外の作曲家の作品集を発表するのは初めてであり、 パットとジョンが起こす化学反応と、その爆発を楽しめる作品なのだ。
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Pat Methny “UNITY BAND”
第56回 グラミー賞受賞を祝って、ライナーノーツの冒頭を公開します。 Pat Methny “UNITY BAND” liner notes パットが求める音楽的結束・調和のスタンダード パット・メセニーの新作では、ジャズおよび音楽ファンの予想を超えるプランが打ち出されるのが常といっていいだろう。 その顕著な例が、前代未聞の、自動演奏システムとの共演という『オーケストリン』(2010年)だ。 しかし、当の『オ—ケストリオン』、ソロ・ギターによる初めてのポップス集『ホワッツ・イット・オール・アバウト』(2011年)と、 ある種一人で制作したアルバムが続いたことで、今回ばかりは “グループ”に回帰するであろうとの予測はあった。 そろそろバンドを組み、メンバーとの応酬を楽しみたいはずだし、もともとパットは、 ギタリストとして共演者の音に反応することを好むタイプでもあるからだ。 トリオでは2008年、クァルテットでの最後のレコーディングは、 ブランド・メルドー・トリオと組んだ2006年録音だということをかんがみれば、なおさらだ。 実際、本作『ユニティ・バンド』はクァルテット作になった。けれど、そこはパットのこと。 しっかりと筆者の予測を超え、テナー・サックスをフロントに迎えている。 パット名義のテナー・サックスとの共演作としては、『80/81』以来、実に30余年ぶりのアルバムということになる。 まず、このことをパットに聞かなければならない。 しかし、パットは、いつものように理路整然と語った。