Pat Metheny “TAP”
Pat Metheny “TAP” liner notes
パット×ジョンによる新たな化学反応
パット・メセニーの、演奏家としての凄さに圧倒された新作「タップ」である。
今作は、ジョン・ゾーンの『ブック・オブ・エンジェルズ』シリーズの第20作にあたる。
つまり、ジョンの作曲を (ジョン自身のクインテットなどを含む) 様々な演奏家がアルバム化する企画の一作品で、
パットが所属するノンサッチと、ジョンのレーベルであるTzadikより同時発売される。
パットが自分以外の作曲家の作品集を発表するのは初めてであり、
パットとジョンが起こす化学反応と、その爆発を楽しめる作品なのだ。
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パット・メセニー (1954生まれ) とジョン・ゾーン (1953年生まれ) は、同時代にアメリカに生まれ、
同じく広義の“ジャズ”をフィールドとして活躍してきたのに、近年になるまでほとんど接触がなかった。
ジョンの音楽の原風景は、私見だが、ダビデ王に遡る“イスラエル王国”だ。
ビバップのイディオムを消化した上で、フリー・スタイルの演奏を基盤とするアヴァンギャルドな音楽活動は、
驚くほど多岐にわたる。ユダヤ系である自身のルーツ・ミュージックであるクレズマー音楽を追求し、
その影響をちりばめた『ブック・オブ・エンジェルズ』シリーズを推し進めるなど、
独自の音楽世界を開示してきた。
かたや、パットの音楽の原風景は“アメリカ中西部”で、アルバムのほとんどがグラミー賞を受賞するという、
実力に人気が伴う、ジャズの表通りを歩いてきた音楽家だ。
このように、パットとジョンの活動は、一見対極にあるようにみえるが、
ともに一徹なまでに自身の音楽に忠実であり、そろってオーネット・コールマンとの共演作があり、
フリー・フォームのジャズへのリスペクトをもっている。
オーネットに続く革新的な作曲家は誰かと考えたとき、ジョン・ゾーンの名前がでてくるのは自明の理だともいえるのである。
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まだリリースしてから日が経っていないので、
この先は、CDについているライナーノーツをお読みください。
いつか必ず、公開します。