Music Diary
[ 2010.05.24 ]
東京銘曲堂10周年
5月6日、9周年を前にしたJZ Brat(渋谷セルリアンタワー内、2階)に、もう一歳年上の、結成10周年を祝うジャズ・トリオ、東京銘曲堂を聴きにでかけました。
東京銘曲堂にはしないと決めことがあるそうです。
それは、譜面台なし。
マイクなし。モニターなし。打ち合わせなし。
逆にすることは、スタンダード・ナンバーを真正面から演奏する。
ただ、それだけ。
つまり、奇をてらった編曲をほどこさずに、メロディの美しさをいかすことに心をかたむけるという、このトリオの決意です。
岡安芳明のギターが、穏やかな美しさをもってメロディをかなで、
生音でくりだされる上村信のベースが、力強くJZ Bratを震わせる。
すると、川嶋哲郎のテナー・サックスがエモーションいっぱいに歌いあげる。
これが、彼らの形です。
〈フールズ・ラッシュ・イン〉で3人の呼吸が合うと、川嶋さんがフルートに持ち替えて〈春のごとく〉、続けて〈ホワット・アム・アイ・ヒア・フォー〉を吹きます。
彼は最近とみにフルートの腕をあげていますが、無心に演奏する喜びが聴き手にも伝わってくて、聴き手もうれしくなるのです。
〈ホワット・アム・アイ・ヒア・フォー〉は、彼らの10周年記念ライヴ作『イン・コンサート!』でもひとつのハイライトでしたが、
岡安さんのギターの刻みの心地良さ、そしてメロディを歌ったときの余分な音のない演奏が素晴らしかったですね。
上村さんもまたテクニックに裏打ちされた、躍動ある歌を歌うのです。
達者なテクニックと歌心をあわせもつミュージシャンが、エゴをすてて音楽に対峙(たいじ)する。
聴衆を目の前にするとウケをねらった派手な演奏をしがちですが、3人はその誘惑に負けません。
岡安さんは、次のように語りました。
「個人的には捨て身でやっています。守りにはいることなく演奏していきたい」。
上村さんは「この3人が会うといつも新鮮なので、10年やってきたという実感はない」。
川嶋さんは「フツーのことをフツーにやる、これができなくなったら音楽を止める」。
装飾もプライドも脱ぎ捨てて、男が(女性もですが)観客の前に立つのは、たいへんなことなのです。
でも、ですから、すばらしいわけで、聴き手もステージが進むうちに徐々に裸の心になることができるのですね。
少し身が軽くなって、家路につきました。
おめでとうございます、10周年。







