Music Diary
[ 2008.04.30 ]
6人のボブ・ディランが演じる、映画「アイム・ノット・ゼア」
前回から、映画の話が続きますが、今日ご紹介するのは、ボブ・ ディランを描いた映画です。
ボブ・ディランは、アルバム総セールス1億枚というトップ・ミュージシャンであるばかりでなく、ノーベル文学賞候補にもあがった詩人でもあります。
そのディラン自身がはじめて公認した映画が、この「アイム・ノット・ゼア」なのです。(以前にもディランのドキュメンタリーを撮った映画は、公認されています)。
監督は、鬼才トッド・ヘインズ(「ベルベット・ゴールドマイン」ほか)。リチャード・ギア、ケイト・ブランシェット、クリスチャン・ベイルほか黒人の少年を含む6名の俳優が、6通りのディランを演じます。誰も、ディランとは名乗らないのですが。。。
だからタイトルも、「アイム・ノット・ゼア」。わたしは、そこにはいない、という意味で、映画内で使われる未発表曲名でもあります。
まず、この映画では、6名の俳優に、6つ時代の、ディランらしき人物を演じさせた手法に感心してうなりました。
時系列で描いたのでは、きっとモレもウソもでる、多様な顔をもつディランに、そのアプローチがどんぴしゃでした。
釘づけにされたのは、ケイト・ブランシェット。ちょうどディランが、ギターをエレクトリックにもち替えて、観客や音楽関係者から非難されていた1965年〜66年あたりの彼を演じています。
ステージから、ギターの代わりにライフルを打つ、過激な姿。ビート詩人、アレン・ギンズバーグとのつかの間の出逢いに、はしゃぐ子供のような姿と、女優でどうしてここまでできるの?という演技に、彼自身を見るより、彼のことを知らされた気がします。
結果、ゴールデン・グローブ賞助演女優賞を受賞し、アカデミー賞同部門にもノミネート。わたくしなら、アカデミー賞もあげたのに。
観客を、7人目のボブ・ディランにし、映画のコラージュのなかに参加したような気持ちにさせるこの「アイム・ノット・ゼア」。
4月26日から、わたくしの大好きな映画館、シネマ・ライズで公開がはじまりました。
この大型連休に、もう一度シネマ・ライズの隅の座席に座って観てみたいですね。
ええ、7人目のボブ・ディラン俳優になった気分で。

『アイム・ノット・ゼア』
© 2007 VIP Medienfonds 4 GmbH & Co.KG/All photos- Jonathan Wenk
シネマライズ・シネカノン有楽町2丁目他全国公開中!
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