Music Diary
[ 2011.12.14 ]
Jane Birkin's bravery /ジェーン・バーキンの震災復興支援
白いシャツに黒いパンツ。
そんなシンプルな衣装なのに、華と温かさがあるのはジェーン・バーキンならではでした。
11月25日、東京国際フォーラム ホールC 、たった一夜の日本公演。
彼女をスターダムへと押し上げた鬼才にして、愛するパートナー、セルジュ・ゲンズブールが彼女のために書き下ろした78曲中、21曲を歌う今回の公演。
今年はゲンズブール没後20周年に当たりますが、ノスタルジーを超え、彼女は自由とは、愛とは何なのだと問いかけてきました。
その可憐で無垢な声、と同時に温かな人間性を感じさせる表現に、深く魅了されたのですが、
その鍵はミュージシャンの人選が握っていたのです。
ジェーンが言いました。
「東日本大震災が起き、わたしは何をおいても日本に行かなくてはと決心し、自費で飛んできた。
渋谷クラブ・クアトロで東日本震災復興支援ライヴをやることができたのだけれど、ほんとうに準備時間が短なかったのね。
コーディネイトをしてくれた、PARCOの幸子も大変だったと思う。
そんななか駆けつけてくれた4人のミュージシャンとツアーをすると、そのときから決めていた。そう、わたし、あなたにも話したわよね?
今回のツアーは、"VIA JAPAN"と名づけた理由も、わかってくれるでしょう?」
だから、一風変わった編成だったのです。
中島ノブユキ(音楽監督、ピアノ)、金子飛鳥(バイオリン)、
坂口修一郎(トランペット/トロンボーン)、栗原務(ドラムス)。
中島ノブユキによるたくみな編曲が、金子飛鳥がストリングス・セクションを、坂口修一郎がホーン・セクションすべてを担当しているかのような、錯覚を起こさせます。
シンプルにして豊潤な音の連なり。
そのサウンドは、ジェーンにとても似合っていました。
ジェーンは飛鳥さんとデュエットをユーモラスに歌い、あるときはステージに腰掛けて歌うのですが、そこに演出という匂いは感じられません。
彼女はいつも裸の心で聴衆と、そして自分と、向き合うからです。
(いつも、誰とでも)
ステージが進み「ジェーンB、私という女」「バビロンの妖精」といったヒット曲になると、満員の会場も一段と熱を帯びます。そう、いち早く3月のあの時点で日本に飛んできてくれた彼女に、わたしたちは会場を満員にするという熱意をもって応えたのでした。
そのジェーンはといえば、コンサート中、一言も震災復興支援とは口にしませんでした。
「言わずに伝えるために、この4人とステージに立ったんですもの。
世界の人が彼らの笑顔を見、素晴らしい演奏を聴くことで、日本が今直面している苦難を思い出し、日本ががんばっていることを感じてくれる。
そして、また世界が日本を応援してくれると信じている」
ジェーンの有言実行には、頭がさがります。
彼女が信じている日本の明るい(そして危険の少ない)ミライを、わたしたちが信じられなくてどうするのでしょう。
わたしがジェーンのことを勇敢だと言うと、彼女は笑ってこう言うのです。
「わたしはイギリス人でしょ。日本もだけれど、島国の人って様々な危険に遭遇してきたから、恐がりじゃないのよ、きっと」
アメリカ〜カナダ・ツアーは12月11日のニューヨーク、タウンホール公演まで続き、その成功を中島さんがTwitterで伝えています。
「NY公演終了!北米ツアー・ファイナルは、最終日にふさわしく、自由度を増して、そしてパッションも増していた」
会場中が耳になり、彼女の歌とことばに耳を傾けたに違いありません。
日本公演でも、そうでしたから。
ヨーロッパの公演では、音楽監督でもある彼だけ日本から呼び、他のメンバーはヨーロッパ在住の日本人ミュージシャンで行われました。
「ぜったいに日本人じゃなければ、ならなかったの」
そう笑顔できっぱりと語るジェーンは、メンバー紹介のとき、彼らの肩に触れ、中島さんにはひざまずいて「マエストロ」と呼び、仰ぎ見たのでした。
"VIA JAPAN"は年が明けたらまた続き、来年3月まで世界をまわります。
photo by Shoichi Kajino
Jane and the Japanese musicians
公演プログラム
1.馬鹿者のためのレクイエム
2.トンベ・デ・ニュー
3.ディ・ドゥ・ダー
4.おびえた笑顔
5.雪の下のマリー
6.いつわりの恋
7.プレイ・ナイフ
8.ジョニー・ジェーンのバラード
9.さよならは早すぎる
10.X型クラセックス
11.ささいなこと
12.別離の歌
13.コミック・ストリップ
14.失いし恋
15.ジェーンB.私という女
16.キスのテクニック
17.アー!メロディー
18.虹の彼方
19.愛のイニシャル
20.バビロンの妖精
21.シック
作詞・作曲(一部共作)
Serge Gainsbourge







