Music Diary
[ 2008.09.18 ]
サザン休止前の「真夏の大感謝祭」
この夏のハイライトLIVEは、サザン・オールスターズ「真夏の大感謝祭~30周年記念LIVE」でした。「休止前」最後のステージとあって、チケットの争奪戦も激しいものがありましたが、わたくしもどうしても観ておきたくて、横浜の日産スタジアムに行ってきました。
セットリストは、下記の通り。
http://www.sas-fan.net/30thlive/setlist/index.html
すごいですよね。42曲歌って、そしてアンコールが4曲。それだけのヒット曲をもっていることだけでもすごいのですが、その曲をファンの人たちが一緒に歌っている。それぞれの曲と共に生きてきた。そんな桑田楽曲のパワーを思い知りました。
今までのサザンの活動を集約し、リクエストをとり、できうる限りすべての楽曲をファンに届ける。彼らならではのサービス精神にのっとって開催された、「真夏の大感謝祭~30周年記念LIVE」。
頭がさがるのは、サービス精神だけではありません。桑田さんの特徴のある歌声、それを支えるサザンの仲間、またそれを支えるスタッフの熱い仕事ぶり(舞台も照明もていねいなクラフトマンシップが貫かれていて、完成度が高いのです)。
「仲間」感覚が好きなわたくしは、大喜び。その温かさあふれるステージを、心から堪能したスタジアム・コンサートでした。
サザンの休止に関しては、多くのメディアに報道されて大きな話題になりましたね。NHKのニュース番組で、紹介されたくらいですから。
「急にさわいでくださっていますが、今までサザンのこと、そんなに気にしていなかったんじゃないですか〜?」
と、桑田さんがステージで言っていました(笑)。まぁ、「終わる」「手に入らないとなる」と急に気になる、欲しくなるのが、人の心というものでしょう。勝手なものなんです。
でも、勉強/充電期間って、プロにこそ必要なんですよね。
10年ほど前のことになりますが、松任谷由実さんが言っていました。
「日本は元来農耕民族ですから、毎年決まった時期に収穫がある方が安心感がある。毎年アルバムを出しているのは、そんなこともふまえてのことなんですよ」
なるほど。確かにそうです。ご明察。売れている人たちは、このルールを自然に踏襲している気がします。
でも、受け取り手はいいとしても、作り手にはこの日本のペースはたまったものじゃない。桑田さん、由実さんクラスの海外のミュージシャンだったら、3年間隔くらいが平均でしょう。そうしなければ、発想を得て→制作して→プロモーションをする、という循環の、おしりと頭が重なってしまいます。
「勤勉な国」日本で活動するミュージシャンは(文学者、画家たち、そしてあなたにわたくしも!)、時間にせきたてられ、なかなか大変なのです。
そして、勉強したいと切実に思うのは、誰でも仕事をもってからなのですが、そのペースではなかなか学びのための時間がとれません。
野田秀樹さんがロンドンに渡った時期、「これは充電期間ではなく、停電期間です」と言って笑わせてくれましたが、たまにはまわりを暗くしてゆっくりし、 「作らない」時を楽しむ時間が表現者には必要です。自分から発信するだけではなく、外から様々な形でインプットされる、そんな時間と経験の重なりが、次の創作へと向かわせるのです。
ってなわけで、わたくしは桑田さんには充分休んでいただきたい。30年走り続けたら、どんなにいい仲間に恵まれていても、たいへんです。お疲れさまでした〜
今回の大感謝祭を観て再確認したのですが、桑田さんがなしとげた「日本語歌詞の改革」は、大きいものでした。それまでは、「りんご」と歌うためには、3音必要でしたが、桑田さんはそのルールをくぐり抜け、「リンゴ」を1音に収めることに成功した。
当初は、聴き取りにくいと批判もされましたが、もっと大きな利益が桑田詞からもたらされたのです。時代のテンポと歩みをそろえた、桑田さんの歌詞。言いたいことがつまっていて、リズムの遊びもある。伝えたいことが溢れ返り、しかもそれが言えている歌詞でなければ、人の心は動かないからです。
「サウンド」としては、おおざっぱに言えば、サザンは「元気爆裂の夏ソング」と「甘いバラード」の2つに分かれます。そのどちらにも名曲が多いのです。
でも、50歳になったら、ちがう歌も歌いたいと思っても、不思議はありません。以前、桑田さんのソロLIVEで、美輪明宏さん作詞・作曲の「ヨイトマケの歌」を聴いたことがありますが、すばらしかった。ソウルと痛みへの共感があって、涙のしみこんだシャウトを聴きました。
これからは、サザンの枠に捕われない、好きな歌を歌ってほしい。そうとも願うのです。
休止前の最後のシングルは、〈I AM YOUR SINGER〉。まさしくサザンのことですね。LIVEでも感動したんです。アンコールをするときに、下から目線で「歌ってもいいですか〜?」と観客に聞いて、歌い進めるんですよ。その姿勢と感謝のきもち。このコンサート中に、何度ステージから「ありがとう」と言われたか、数えきれません。
その姿勢は、しっかり心に刻みました。こちらこそ、ありがとう、サザン。
会場で求めた赤いT シャツ。鶴が飛んでいるド派手なT シャツは、還暦に着ようと、楽しみにしています。
気がつけば、来年はわたくしも「音楽ジャーナリスト」30周年。これまでの幸せを噛みしめる機会にもなった「真夏の大感謝祭」でした。

終演直後の横浜日産スタジアム

雨対策後のサブステージ

すっかり濡れて、スッピン状態のヨウ

売り切れたハッピ姿のご家族。「撮っていいですか?」と聞くと、すっとお嬢さんが真ん中に入る息の合い方も、サザン・ファンの心意気。







