Music Diary
[ 2009.09.03 ]
渡辺貞夫の新作に鼓舞されて
渡辺貞夫、6年ぶりの新作『イントゥ・トモロウ』を楽しんでいます。
渡辺貞夫70作目のリーダー作、と謳われていますが、わたしの計算では少なくとも79作はあるようですが【この件は蛇足で最後尾に書きますね】
若手とのNY録音、そして新曲にとてもいい曲が揃ったことが、今回の新作のリマーカブルな点。
まず、共演者の顔ぶれを見てみましょう。
このメンバーが集まったきっかけは、昨年のジョナサン・ブレイク(ds、32歳)との共演でした。
彼を気に入った貞夫さんが、「いいプレイヤーを紹介してほしい」と彼に依頼したのです。
とはいえ、すぐピンとくる人と出逢えたわけではありません。
選考に選考を重ね、ジョン・クレイトンの息子であるジェラルド・クレイトン(p)、ベン・ウィリアムス(b)という共に24歳の才能に白羽の矢が当たりました。
彼らはロイ・ハーグローブ・グループなどで共演経験もあり、ジャズ界期待の新星なのです。
貞夫さんが、大きな笑顔で彼らに賛辞をおくりました。
「今回の出逢いはうれしかった。年齢差なんて、ちっとも感じませんでしたね。
新作では、ぼくのことは横に置いておいて、彼らの演奏を楽しんで下さい。
ぼく自身の演奏に関しては、9月初旬に彼らとやるツアーでリカヴァーします」。
◆ ◆ ◆
そのリカヴァー=LIVEをブルーノート東京で、蓮チャンで2日、3日と観てきました。
確かに! これは大変いい「バンド」になっていましたね。
2日目は会場のサウンドも整ったので、貞夫さんは演奏に集中。
オープナーの〈バタフライ〉から、入魂のソロを聴くことができました。
〈スタディ・アット・ピットイン〉では、今夜はビバッパーの面目躍如。若手に「参りました!」と言わせるような、ブロウを繰り広げたのでした。
3人ともすごいけれど、ピアノのジェラルドと、ベースのベンがすばらしい。
何でもできるのに、テクニックをひけらかすことなく、しゃしゃりでず、ジャズを主役にする。
そのアティトゥードが、とても24歳とは思えません。
貞夫さんも言っています。
「ジェラルドが、ぼくに寄り添うようなピアノを弾いてくれるんです。
歌心もあり、お父さんのDNAを受け継いだのでしょう、ビート感もすばらしい。
ダイアナ・クラールが(父親に師事していた)ベビーシッターだったといっていたな(笑)」
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新作に話を戻すと、新曲が全11曲中8曲もあります。
レコーディングが決まり、今年に入ってから作曲したそうで
「やはりレコーディングがあると、録音日という締め切りまでに曲を書こうとしますから、曲が生まれますね」
貞夫さんのアルトが切々と語るバラード〈イフ・アイ・クッド〉に〈イントゥ・トゥモロー〉、
セカンド・ラインでの〈ホワット・セカンド・ライン〉や〈ノット・クワイト.ア・サンバ〉は編曲も面白い。
歌心を堅持するために、貞夫さんは今でもツアーがない日は、8時間練習をします。
旭日小綬章を受章(2005年)しても、この努力。
日々の研鑽と、「夢は叶う」と常々語っているポジティヴネス。その両輪があってこそ、明るさとオリジナリティをもつ渡辺貞夫の音楽が生まれるのです。
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10月には、歌舞伎座の舞台にニッキという天才シンガーと立ちますfor「ギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティヴァル 2009」
そして年末恒例の「クリスマス・ギフト」では、今回のレコーディング・メンバー3人に、アルトのケニー・ギャレットを加えた面々で
「ビバップをやります!」
これは、楽しみ。
多弁なギャレットを、貞夫さんの歌心でだまらせてほしい。
いえ、だまるとビバップにならないから、2アルトでブリブリ吹いていただきたい。
今年の後半も、貞夫さんから目が離せないのです。
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【蛇足コーナー】
アルバムの枚数が数えきれないなんて、すばらしいことだと思います。
NHK-FMでも語ってしまったので、今作を、どうして少なくとも79枚目だと思うかを、ここに述べておきますね。
1.仮に「MY DEAR LIFE : 50th ANNIVERSARY COLLECTION」を1枚としてカウントするのなら、
[NICE SHOT](Flying Disk)
[SELECTED] (Elektra)
[JUST A TOUCH : VOCAL COLLECTION](Elektra)もカウントしないと統一性が損なわれます。
2.貞夫さんのリーダー・アルバムは、CDやアナログ盤LPに限りません。
1967年から1970年にかけては、オープンリール・テープ(ニッポン放送/ポニー、4作確認している方がいます)やソノシート(朝日ソノラマ、1作は確認されています)による正式な商品があったのです。
3.音源が売却されたときに、一部が新録音に差し替えられたアルバムがあります。「イパネマの娘」(RCA:現BMG)がそれです。
4.トッキーニョとの大傑作「メイド・イン・コラソン」は、実は2種類あります。
英語圏(Elektra)とポルトガル語圏(BMG)でリリースされたのですが、発売元が異なり、貞夫さんのソロを含めた演奏内容も一部が異なります。
以上を総合して考えると、貞夫さんのリーダー・アルバムは「少なく見積もっても79枚」という結論になります。







