Music Diary

[ 2009.01.23 ]

ボズ・スキャッグスの『スピーク・ロウ』

 ボズ・スキャッグスといえば、AORを代表するシンガーです。
 彼もこのダイアリーに初登場ですので、少し経歴を振り返ってみましょう。

 ボズは、1944年オハイオ州に生まれ、テキサス州で少年時代を送りました。12歳のときにギターを始め、セント・マークス・スクールでスティーヴ・ミラーと出逢い、彼にギターを習いながらヴォーカリストとしてバンド活動を始めました。二人は共にウィスコンシン大学に進み、大学時代もブルース・バンドを組んだのです。

 '60年代前半は、白人によるリズム&ブルースが盛んだったイギリスのロンドンへ渡ります。いくつかのバンドでプレイした後、ソロとしてヨーロッパを遠征中に、スウェーデンのポリドール・レコードの目にとまり、1965年にデビュー作『ボズ』を発表します。

 帰国後、サンフランシスコを拠点に活動し、スティーヴ・ミラー・バンドのファーストアルバムに参加。これで好評を得たボズは1969年にアトランティック・レコードからアメリカでのデビューを果たすのですが、ここではヒットを飛ばすには至りませんでした。

 1976年、それまでのブルース色を一掃し、クロスオーバーっぽい洗練されたサウンドの『シルク・ディグリーズ』を発表。これが全米2位を記録し、 500万枚以上を売り上げ、ボズの名は世界的に知られるようになります。そのアルバムからも〈ロウ・ダウン〉(全米第3位)、AORのスタンダード曲〈ウィ・アー・オール・アローン〉の大ヒットを放ったのです。(オマケですが、このアルバムに参加したセッション・ミュージシャンたちは後にTOTOを結成し成功を収めました)。

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こうしてAORの代表的なシンガーになったボズですが、彼はここ6年ほどスタンダードを好んで歌っています。その彼の最新作が、前作に続いてスタンダード集『スピーク・ロウ』になったのも、自然な流れでした。

 彼が来日時に、ブルーノート東京のステージから次のように語りました。

「シンガーとしていい歌を探していると、どうしてもスタンダードにいきつくのです」

 ボズの声は中性的で、繊細な感性が歌から聴こえてくるよう。そのボズが歌うスタンダードは、少しアンニュイで、落ち着いた色合いをもっています。

 今作では、木管楽器やアコーディオンなどをいかしたアレンジが見事にボズの柔らかい歌声を引き立てていて、編曲家ギル・ゴールドスタインを(ボズ本人とともに)プロデューサーに起用したことで、すばらしいアルバムが仕上がりました。

 聞けば、ニューヨークにアレンジャーを探しに行ったボズが、これだという人に巡り会えず、ジャズ・クラブが並ぶヴィレッジを息子さんとそぞろ歩いていました。すると、イメージしていたサウンドがクラブから聴こえてくるではありませんか。

 店内に入ったボズは、それがギル・ゴールドスタインのグループだと知るのです。こうしてギルと出会い、今作のプロデュースを依頼したのが、今作のレコーディングの始まりでした。

 日本盤ボーナス・トラックとして、彼の大ヒット〈ウィー・アー・オール・アローン〉をふくむメドレーがはいっているのも、うれしい点。

 やわらかなスタンダードを聴きたいという方には、ぜひお勧めしたいアルバムになっています。

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ボズ・スキャッグス
『スピーク・ロウ』

ユニバーサルミュージック
UCCU-9674
2009年1月14日発売
※ 権利者の許可を得ずに、複製することを禁じます。