Music Diary

[ 2009.01.09 ]

年頭にシール、魂の歌を聴く

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 さて、2009年のわたしのコンサート初めは、パット・メセニー・グループ@ブルーノート東京でした。
 彼らがクラブで公演するなど、30余年の歴史でほとんどなく、その距離感の近さだけでも見応えがあるステージでした。
 わたしが行った3日のファーストでは、「機械的なトラブルが発生し、本領は発揮できなかった。また、必ず来て!」とのパットのおことば。
 ハイ、ではそのレヴューは控えてですね、今日はシールというシンガーの新作について書こうと思います。

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 シールは、イギリス出身のシンガーで、たいへんソウルフルな歌声の持ち主です。今回、その声の特質をいかして、ソウル・クラシックスの名曲をカヴァーした『ソウル』をリリースしてきました。その歌心がたっぷりこめられた12曲に、心を揺さぶられている新春のわたしです。

 シールはミュージック・ダイアリーに初登場ですので、ちょっと経歴をご紹介しましょう。
 1963年、ブラジル人の父親と、ナイジェリア人の母親の間にロンドンに生まれたシールは、91年にソロ・デビュー。そのデビュー・アルバム『シール』でクラブ・サウンドとソウル、ポップスが融合したハイブリッドな音楽を提示し、新たな音楽の旗手といわれたのでした。
 そしてグラミー賞を3部門獲得した『シール2』(94年)。はたまた内省的な作品や、ダンス・アルバムだった前作を経て、今回のソウル名曲集にたどりついたわけです。

 シールの歌声の特徴は、アレンジにあるのではなく、今作のような「名曲」だからこそ輝く、時代を超えた真摯さにあるんですね。だから、下手するとイージーな選択になりがちな名曲集でも、きっちり歌っていて、それが素晴らしいんです。
 そのまじめさが、吉と出る選択だったわけです。

 冒頭に収められた、サム・クックのヒット曲〈ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム〉は、オバマ米大統領の就任間近な今のタイミングで聴くと、実にタイムリーです。
「川のほとりの小さな町に生まれたぼくだけれど、きっといつか変化はくるさ」。
 そう歌う彼の声から、肌の色のために受けた差別、それをはねのけてきた日々の努力、そういった歌われない歴史までもが聴こえてくるのですね。それは、その負けじ魂と未来への希望を、シールが歌にこめているからなのです。
 ストリングスなどが歌をドラマティックにもりあげ、それに負けないストロングな歌声に、強く揺さぶられます。

 わたしのアイドルの一人、オーティス・レディングのヒット「愛しすぎて(原題:アイヴ・ビーン・ラヴィング・ユー・トゥ・ロング)」では男の恋心が、涙を誘います。
 ベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」からは、頼もしさが伝わってきます。

 どのナンバーも魂をこめて歌い、オリジナルにひけをとらない熱唱にしていている点が素晴らしいのです。ソウルっていいですね。ソウルフルな歌声って、人を励ましますね。
 では、「魂」ってなんだろう。そんなことを考えさせ、心動かす、年頭の1枚でした。

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シール
『ソウル』

ワーナーミュージックジャパン
WPCR-13284
2009年1月14日発売


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