Music Diary
[ 2010.03.12 ]
Branford Marsaris 4 was GREAT
ブランフォード・マルサリス・クァルテットが来日すると、必ず聴いてきました。
いつも感動がありますが、今回ばかりは脱帽しました。
その膨大な熱量。
それは、ジャズがともすると失いかけている熱情であり、雄々しさであり、予定調和を超え、しかもバンドでしか生み出せない、自由な発想の固まりから生まれるエネルギーなのです。
一丸とよくジャズの形容詞で言いますが、このバンドでは、それは自明の理です。
一丸になるだけではなく、個々の創造力も極限レベルで要求されますし、丁々発止のやりとりは、聴く者の手に汗を握らせるものです。
しかも、それが相互信頼にもとづいて行われていることが、聴き手にもわかる。
聴き手は、その音の潮流の中を一緒に泳ぎ、流されながら、彼らのジャズを体験するのです。
そう、聴くというレベルの体験ではありません。
感じる、共有する。
これが、ジャズのライヴの醍醐味なのですね。
その醍醐味を味あわせてくれるバンドがいくつかあるか、
数えるのはさみしくなるので止めますが、その満足に、彼らが帰った後は放心し、しばらく何も聴けない時期が続きます。
そう、ブラフォードに言うと、「うっそー」と言っていましたが、うれしそうでした。
今回は、新加入のジャスティン・フォークナーに、心を揺さぶられました。
楽屋ではおとなしい18歳の好青年。
ブランは、ああせい、こうせいとは決していわず、何かひどくちがったことをしたときだけ、後から彼にそう告げます。
「キッドがバンドにはいってから、まだ1年。その間の彼のとげた成長に目を見張っている。
ぼくは大学などに教えに行くと、たとえばコルトレーンを聴くことを勧めず、コルトレーンが聴いていただろう、もっと以前のジャズをばんばん聴かせ、演奏することを教えていく。
彼も、何を聴いたらいいか訪ねてきたので、同じようにした。
〈セントルイス・ブルース〉をやったって、キッドが叩けば、そこには今のビートが息づく。それは自然なことだが、そのことにも喜んでいるんだ」
そうです。
若き日のエルヴィン・ジョーンズという呼び声が高いジャスティンですが、彼は21世紀のドラマーです。そのビートがバンドに、新鮮な風を吹き込んだ。
そこに、ぐっときた今回の演奏でした。
1st、そしてsecondと通して聴きましたが、素晴らしかった。
最近作『メタモルフォーゼン』では、一発録りなのに、完璧すぎるサウンドに少々不満をもちました。
それが、ジャフ・テイン・ワッツの円満脱退を経て(彼らは今でも一緒に映画に行く、仲良しです)、新たなドラマーがはいったことで、見事な効果をあげていました。
ブランフォードがバンドにこだわる理由がよくわかります。
そして、ひとつのバンドを聴きつづけることは、まるで人生を見ているようです。
山あり、谷あり。
でも、前に進む。演奏する。
「やることでしか、やり続けることでしか、結果も生まれない」と、ブランフォードもいっています。
よし、やるぞ!
大いに励まされ、やる気がでた最終日のライヴx2。
外は雪でしたが、わたしたちの心は熱く燃えたのでした。
Thank you for your music and effort, Branford.
Come back soon.
次作は、ジョーイ・カルデラッツォとの美しいデュオ作になります。
コレを一足早く聴いて、泣いています。
エリック・レヴィス(b)の演奏は重量感があり、深く心に響く。すばらしいベーシストだ。
ジョーイ・カルデラッツォ(p)は、今回遅れて来日したが、ラスト2日間で一気に不在を挽回。
18歳の若き才能、ジャスティン・フォークナー(ds).「若き日のエルヴィンのようだ!」という呼び声が高い。
レコーディングを全作担当しているエンジニア、ロブ・ハンターが今回も同行。
ツアー・マネージャーのロドリック・ワード。彼もブランフォードとの付き合いは長い。
ブランフォードが認めている公式ディスコグラファー、上田篤さんと。
お仕事を入れずに、毎夜、ブランと共演したアルト奏者、多田誠二さん。息が合っている。
わたしのお仲間と。後列from L:椎名豊さん(p),田中浩也さん(慶應義塾),Branford,竹川佳成さん(神戸大学),前列:市原ひかりさん(tp),yo,中島さん(as,from静岡)







