Music Diary

[ 2010.04.07 ]

MADONNA / マドンナのリア充

マドンナの『スティッキー&スウィート・ツアー』を見・聴き、ライヴ・アルバムならではの臨場感を味わい、観客のひとりになった気分で、夜が更けるのも忘れて見通してしまいました。

興行収入約400億円を記録したこのツアー。

2008年12月に行われたアルゼンチン、ブエノスアイレス公演をCD+DVDの収録地に選んだのは、映画「エヴィータ」主演以来、マドンナが国民的な人気を保っているから。

それでも、14年振り。
マドンナは椅子に足を大きく開いて座り、回転ステージに登場するが、そのQUEENの貫禄がすごい。
よし、よしと、観客を見回して、さぁショーの始まりだ。

アルゼンチンの観客にいうの。
「14年振りね」
「長過ぎ、right?」
「Never again、right?」

マドンナというシンガーは、押しが強そうだが、その実もっと賢くて、観客に主張を押しつけるということをしない。
まるで心理学者と催眠術師をかねたような、そのトーク。

ハイテクなスペクタクル・ショー。
そこに熱い観客の視線や歓声が混じることで、あがる効果がある。
会場のカメラの閃光。
アルゼンチンの若者の、汗、歓声、喜びの顔、顔、顔。
マドンナに向かって伸びる手、手、手。

ハイテクに、生の人間のリアルが加わることで、マドンナが目指している「人間讃歌」をテーマにした作品が完成するのです。

だから、DVDの見応えは半端ではない。

「ダンサーを踊りだじゃなく、俳優ととらえている」と語る彼女だけあって、ダンスにもメッセージ性がたっぷり。

ロマの旅芸人一座のコーナーは、サウンドも舞台装置もアコースティックで、わたしのお気に入り。

マドンナは今や決して口パクをせず、ギターを弾きながら〈ドント・クライ・フォー・ミー・アルゼンティーナ〉を歌い、アルゼンチンの観客を泣かせ、
観客と一体になってアカペラで〈ライク・ア・ヴァージン〉を歌う。

完璧に歌う会場も、すばらしい。
歌わせる、マドンナ、50歳もすばらしい。

平和へのパワフルなメッセージ。
折しも、オバマ大統領が誕生したときの、ツアーです。
オバマへの応援。
当選確実の報に、ステージ前の円陣で「F***ing Happy!こんなにうれしいことはない」と涙声でいうマドンナ。

人間への肯定。
セクシャルな表現も、希薄になりつつある愛しあう者のコミュニケーションのひとつの形だ。

もっと、愛を。
もっと、平和を。
生きるって、楽しいんだよ。
マドンナの声が歌からだけじゃない、装置から、ダンスから、スクリーンから響いてくる。

マドンナは興行成績記録を変えたいのではなく、
本音では、世界を変えたいのだと感じた作品でした。

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ジャケ写中.jpgマドンナ『スティッキー&スウィート・ツアー』CD+DVD (ワーナーミュージック ジャパン WPZR-30363-4)

アー写中.JPGダンサーとしても素晴らしいマドンナ。ダンサーと舞台全体をとらえる俯瞰の視線の持ち主でもある。今回は、アコースティックあり、平和へのメッセージ山盛りで、マドンナの集大成といえる。