Music Diary
[ 2008.02.22 ]
寺井尚子の二の腕
1月吉日、日本のジャズ界最高の栄誉といわれる、「ジャズ・ディスク大賞」の発表会がありました。わたくしは長く司会をつとめていますが、同時に選考委員でもあるので、この日がわたくしにとっての「お正月」。
今回嬉しかったのは、マイケル・ブレッカーの遺作「聖地への旅」が、金賞に輝いたことです。うれしかった(涙)。マイケルは最期まで日本の耳のあるファンを敬愛していましたから、彼も喜んでいると、心から思えたからです。
また、今年は、女性ミュージシャンの受賞が多く、司会として発表していても驚いたくらいです。
日本ジャズ賞を受賞したピアニスト、山中千尋。細腕で弾きまくる千尋のピアノは、エネルギーに充ちています。
そして、「南里文雄賞」という、長年業績のあったミュージシャン個人に贈られる賞は、今回は寺井尚子が受賞しました。
ジャズ・ヴァイオリニストとして人気が高い寺井尚子が、デビュー20周年、アルバム・デビュー10年の今年、「南里文雄賞」を受賞し、その喜びに「これからも益々一生懸命演奏します!」と語っていた様子に、「がんばれ」と、同じ女性として声援をおくりました。
そんな記念の年に、寺井尚子が満を持して『小さな花〜アマポーラ』がリリースしました。彼女のヴァイオリンは情熱と、女性ならではの細やかな感性が、音に化身している点が特徴です。
〈アマポーラ〉は2つのヴァージョンが収録されたのですが、TV-CFでおなじみの、テンポのあるテイクが軽やさがあって楽しいですね。
シドニー・ベシェが作曲し、日本ではザ・ピーナッツのヒットで知られる〈小さな花〉では、哀切な表現、音と音の間に、新境地を感じました。
また、寺井尚子自身が作曲したオリジナル曲〈地球〉では、彼女がこの星によせる想いが切々と語られるのです。ピアノの寺島直樹とのデュオでの演奏で、彼女がうむ豊かな「間」に、ここでも聴き手は自身の想いを書き込むことでしょう。
演奏で注目したのは、〈ペント・アップ・ハウス〉や〈バーディド〉でのアップ・テンポのプレイ。レギュラー・グループとのレコーディングですから、サウンドに「バンド」ならではの一体感があるのです。彼らとなら安心と、楽しみながらヴァイオリンを弾いている寺井尚子の姿が見える演奏です。
前回のダイアリーでも二の腕の話をしましたが、寺井尚子の二の腕も、とってもきれいなんです。細いというより、しまっている、といった方が正しいかな。
うらやましいな、と思っていたのですが、やはり「演奏のためにジムに通っている」そう。ヴァイオリンの演奏は、通常前かがみになるので、後ろにそる必要があるとか。それに、腱鞘炎にならないようにウェイト・リフトもしているのだそうです。
美しい二の腕は、一日にしてならず、なのですね〜
ストイックな努力が、彼女の人気や演奏を支えているのだと知りました。


寺井尚子
『小さな花〜アマポーラ』
株式会社EMIミュージック・ジャパン
TOCJ-68077
2008年01月30日発売
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