EducationMusic Diary

[ 2010.06.07 ]

油井正一アーカイヴ@義塾三田

6月4日(Fri)から13日(Sun)まで、12:00~18:00
慶應義塾大学三田キャンパス東館展示スペースにて、アート・センターのアーカイヴが展示されています。

わたしにとって音楽評論の師である
油井正一先生の展示もありまして、
油井アーカイヴを担当して下さっている(ドイツ)文学部の教授、粂川麻里生先生が呼んでくださいました。

今回の展示は、「ラジオ番組」に特化したものなので、楽しいですよ〜
「油井節」を聞くことができるんですから。

部屋の奥から(プレイヤーですが)油井先生の声が聞こえてきたときには、
突然激しい懐かしさに襲われて、涙がでそうになりました。

油井先生は、ジャズを研究するならアメリカ史、特にアフリカン・アメリカンの初期の歴史を徹底的に学びなさいと指導して下さり、また邦楽系の古典を学んでおくと日本人として自信やアイデンティティにつながるからと、推奨して下さいました。
先生自身も歌舞伎や文楽を見に行かれていましたが、お話上手は落語からでしょう。

また、こればかりは見習えなかったのですが、油井先生は「ノートをとること」を大事に考えておられました。

ラジオ番組で話される時も、冒頭の「こんばんは、油井正一です」という挨拶から最後の一言までしっかり台本を書き、それを読むというやり方で臨まれていたのですね。

また、面白い/貴重だと判断された番組は、放送後にテープ起こしをし、紙にも記録されたのでした。

そのノートと、声が一緒に展示されていますから、ジャズが好きな方でしたら楽しんでいただけると思います。
できましたら、三田まで、見に行っていただけたらうれしいのです。
    ◆       ◆       ◆

油井先生が亡くなってしばらくして、奥さまが
「早くノートなどを取りにいらっしゃい。*さんは既にジャズ史の講義ノートをもっていらした。早く来ないと、なくなっちゃいますよ」とおっしゃったっとき、わたしは奥さまに申しました。

わたしは、先生の字が書いてあるノートは今はまだ悲しくて読めないし、きっと数年間読めないと思う。これは義塾とか、公的な機関に寄贈していただいた方がいい。
デューク・エリントンの取材でスミソニアン博物館に行き、エリントンの残した手書きの楽譜、各賞のトロフィー、書籍、レコード類を調査したことがありますが、遺品が資料として残る素晴らしさを目の当たりにしていたので、そういいました。

わたしがいったことを、奥さまがその通りにされたわけではないと思いますが、息子さんたちが協議され、残っていた原稿、ノート類、CD、書籍を義塾に寄贈されたのでした。

SPは、北海道・帯広にある資料館に寄贈されたので、義塾にはありませんが、それでも先生の蔵書が並んでいるアートセンターの保管庫にいると、まるで書斎にお邪魔したときのような、懐かしさを覚えるのでした。

そして、スケジュール帳の数々を見つけたときは、うれしかった。
手帳が一冊ごと透明な袋に入れられており、手を動かして下さったスタッフの方々のていねいなお仕事ぶりに感謝の念がわいてきたのです。

1958年の手帳には、三島由紀夫さんの電話番号が書かれており、
誰それについて何枚の原稿を書いたと、逐一メモされていました。
その細かな字と内容から、何でも書いちゃうご性格を思いだし、アートセンターでしばらく楽しい時をすごしました。

そちらはまだ保管庫に眠っていますが、DJについては三田でどうか目と耳で楽しんでいただき、感想を聞かせていただきたいと思っています。

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DSC02655.JPG慶應義塾大学三田キャンパスの、福澤先生像と旧図書館

DSC02660.JPG油井先生ノートの数々

DSC02658.JPGノートにラジオ番組用台本がていねいに、書かれています。もちろん、自筆です。

DSC02663.JPG油井先生の名調子DJを聴くことができる、今回の展示。独文学の教授で、油井アーカイヴを担当して下さっている粂川麻里生先生

DSC02676.JPGニューポート・ジャズ・フェス・イン・斑尾での油井先生(上)、ダイアン・シューア、ウエイン・ショーター、小川社長と

DSC02677.JPG塾アートセンター、保管庫に眠る先生の手帳

DSC02675.JPG同、プログラム。整理されていて感激。